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会長自らリスクをとって総指揮 CMで売り場を急拡大のハズキルーペ

(2019年01月10日 掲載)

テレビCMシリーズの放映で売上を伸ばすメガネ型拡大鏡「ハズキルーペ」。商品取り扱い店舗は4万7000店となった。CMの企画からカメラワーク、スタイリングまで、クリエイティブディレクターとして総監督を務めるのが、プリヴェ企業再生グループ / Hazuki Company代表取締役会長の松村謙三氏。その広告効果について聞いた。


オーナーだから、すべてのリスクをとっている

Hazuki Companyは、松村謙三会長率いるプリヴェ企業再生グループによって2007年に買収された後、独自の商品「ハズキルーペ」を開発。自社工場で大量生産できる体制をとり、製造、販売している。本体価格は1万167円。現在、広告媒体費を年100億円かけ出稿量を増やし、ブランドを育てている。

「世の中の文字は、小さすぎて見えなーい」と俳優の渡辺謙さんが叫ぶ60秒CMが2018年ブレイク。続編「武井咲×小泉孝太郎×舘ひろし編」は、作品別CM好感度ランキング1位(10月CM総合研究所調べ)を獲得。

「渡辺謙×菊川怜編は、怒りというテーマを渡辺さんがくれて、僕が演出やセリフを考えたのですが、武井咲編はすべて僕が考えました。プロの広告クリエイターではないですから、いつも半信半疑ですが、見る方の期待を外さず、何度でも見たくなるもの、反響が出るものを考えてつくりました。そしたら、一般の方を対象に調査した、作品1本1本の人気が分かるCM好感度ランキングで、KDDI、ソフトバンク、NTTドコモを抑えて、4135本の中でダントツ1位になったんです」と松村会長。

武井咲さんが主演したテレビ朝日のドラマ『黒革の手帖』の世界観を彷彿とさせるCMは、武井さん扮する銀座のママの店でハズキルーペを売るという設定だ。「僕が考えたCMアイデアが正しいかどうかを確認するために、広告クリエイターに話して、プロとしてどう見ますか、と聞くのですが、ドラマを再現する武井さんの演出は絶対無理です、と反対されました」。

ところが蓋を開けてみれば、武井さんが所属するオスカープロモーション社長がテレビ朝日の会長を説得し実現。慣習にとらわれないキャスティングが反響を呼び、武井咲編は20代からの好感度も高く、ターゲット年齢の引き下げに寄与している。

シリーズを通してハズキルーペのCMでは、出演者が「はっきり綺麗に見える」「この強度、さすがMADE IN JAPAN」「ハズキルーペ大好き」などと商品名や機能を語り、イメージ訴求のCMとは真逆を行く。CM出演者名から、ハズキルーペのCMを想起する率も高いことが分かってきた。

「広告クリエイターが、商品とリンクしない売れないイメージCMばかりつくると、スポンサーの宣伝部門もリスクが取れないから離れていきます。商品を買うのは一般の方ですから、クリエイターは業界内で表彰されてすごいでしょ、と言っていないで、もっと数字で試されないといけません。もちろん反響を出すにはある程度の媒体量が必要で巨額な媒体費がかかりますが、加えて作品に企画力がないと好感度1位の座につくことはできない。僕はオーナーだから、すべてのリスクをとっています。損害が出たらすべて僕個人のポケットマネーの損です」。





CMでハズキルーペをかける武井咲さん、小泉孝太郎さん、舘ひろしさん。


CM後、売上のベースとなる取扱店舗が急増

テレビCMを放映してから、ハズキルーペを扱いたいという流通は急増した。Hazuki CompanyではCM放映と共に、無料の専用什器の提供や商品サンプル200万本の貸し出しを行い、営業展開を強化している。

「2015年8月から、BS、CS、地方局でテレビCMを打ち始め、多い月は媒体費で3億5,000万円かけました。当初のハズキルーペ取扱店舗数は、1万6000店舗でしたがCMを始めてから、毎月約500店舗ずつ増えました。2018年2月に平昌五輪の中継番組に約5億円提供したところ、知名度が上がり月3,000店舗、新規扱いが増えたんです。9月後半からは武井咲編を放映し、10月は新規で約3,600店舗増え、11月時点で4万7,000店になりました。実際に試して買いたいという方が多いので、ホームページでどこの店舗で購入できるか検索できるようにしています。郵便局で2万4,000店舗、国内のセブン-イレブンで2万店ですから、販売網の大きさが分かると思います」。

CM効果で「ハズキルーペください」と指名買いする来店客も多く、売り場拡大につながっている。

「家電量販店では、池袋や渋谷などの都心店舗でも置いてもらっています。一等地で販売する場を借りるとなればかなりの費用になりますが、うちは広告媒体費に年間100億円をかけています。広告は、売上のベースとなる売り場を広げるために欠かせないものなんです。多いと一店舗で月に200~300本売れます。ヤマダ電機さんとケーズデンキさんは毎月約1万~1万5,000本、眼鏡市場さんは月に2万本売ってくれています」。

インターネット広告も年間で億単位の費用をかけているが、費用対効果が良いのはテレビCMだった。「ハズキルーペのメインターゲット層が50、60代。97%がリアル店舗で購入なので、うちの場合はテレビが向いています。インターネット広告はズバリのターゲットを追いかけて広告の表示はしているけれど、レスポンスを見ると、テレビのほうがいいんです」。

ハズキルーペの快進撃を受け、他社からのコラボCMも登場した。ソフトバンク「動画SNS放題」のCMでは、菊川怜さんがハズキルーペのCMと同じ衣装・髪型で出演し、ハズキルーペではおなじみの椅子の上の商品をお尻で踏むシーンや、「大好き」と手でハートマークをつくる仕草も出てきた。

「コラボCMをやりませんか?と言われて、ど素人の僕がつくったCMにコラボしてくれるんですか、と快諾しました。放映後、企業ホームページのアクセス数が月40万件を超え、YouTubeでもないのに数字を伸ばしています」。企業買収家としてのビジネス感覚で広告に新たな風を吹きこむ松村会長。社内には出稿後の反響を確認する独自のシステムを整備し、次なるシリーズCMでも、さらなる反響の獲得に挑む。


――――
松村 謙三氏
プリヴェ企業再生グループ
代表取締役会長 最高経営責任者 兼 Hazuki Company 代表取締役会長

1958年12月生まれ、59歳。成蹊大法学部卒業後、外資系証券を経てプリヴェチューリッヒ企業再生グループ(現プリヴェ企業再生グループ)設立、これまでに52社の企業買収を手がける。経済同友会 委員。大阪大学 大学院 法学研究科 客員教授と、大阪大学 知的基盤総合センター 客員教授を務める。


(2018.1.9 宣伝会議 編集部/宣伝会議 AdverTimes)

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