「人を動かす」という難問に向き合う/新東通信 八木孝介さん〈Fresh Eye〉

「人を動かす」という難問に向き合う/新東通信 八木孝介さん〈Fresh Eye〉

広告業界や広告・コミュニケーションについて、広告会社で働く若手の皆さんはどのように感じているのか? 広告会社に入って感じたこと、日々の仕事で思うこと、これからの想いなど。実際に現場で働いている先輩方の新鮮な視点をお届けする「Fresh Eye」。

今回は新東通信 八木孝介さんの視点をご紹介。広告が持つ力を実感し、プランナーとして「人の行動や心を動かす」ことに日々向き合っている八木さんのコラムです。(以下、JAAA REPORTS「Fresh Eye」より転載)

写真:八木孝介さん
八木孝介さん株式会社新東通信 統合ビジネスソリューション本部
【 目次 】
「人を動かす」という難問に向き合う。
JAAA REPORTS「Fresh Eye」

「人を動かす」という難問に向き合う。

この業界を志した理由。それは「人の行動や心を動かすことが世の中で最も難しい」、そんな考えがきっかけです。私は俯瞰的で、何事も壁を作りやすい人間なんです。広告や人から、「コレいいよ!」と言われても、「いや自分にとっていいかどうかはわからないし」、と思って距離を取る。感動すると言われる映画を見ていても、「現実世界と映画の世界は違うしなぁ」と一線を引いてしまい入り込めない。個人的には「永遠の0」や「君の膵臓をたべたい」は感情入り込めたほうなのですが、それでも泣けない。

ただ、こんな私でも胸にジーンときたCMがあります。2016年カロリーメイト「夢の背中」編のCM。主人公の村上虹郎さんが、受験に落ちてからもう一度浪人生として1年間頑張る姿を描いています。夜中まで机に向かう。大学に進学した同級生からの誘いを断る。集中力が切れ昼間もゲームをしてしまう。成績が思うように伸びず何かに当たってしまう。そんな姿を見守るお母さん。1つ1つの描写がどれも丁寧で、こんな私でも入り込んでしまいました。このCMが放映された当時、私はちょうど大学1回生。受験の記憶が残っていたり、周りの浪人していた友達からの苦労話も聞いていたりした時だったので、余計響いてきたのでしょう。

広告には、こんな私の心をも動かす力があることを知りました。この力を自分のものにできれば、世の中で最も難しいと思う「人の行動や心を動かす」ことができるんじゃないか。達成感を感じることができるんじゃないか。そう思い、この業界を志したのです。

入社してからは、クリエイティブの部署に配属され、プラナーとして企画を立てたり、ディレクションしたり、コピーを書いたり、といったように幅広くいろんな仕事をしてきました。産みの苦しみを感じながらも、よいものができた時の達成感は心地よく、やりがいを持って仕事ができています。

しかし、今の仕事はクライアントがポスターを作りたいから作る、イベントをしたいから企画を考える、などという何をするかは決まっていてそれをブラッシュアップしてほしいしという依頼が多いのですが、めざす姿をヒアリングするとその手法が正しいと思えないことが度々あります。めざす姿を達成するためにはそもそも何をすべきなのか、それ自体から提案することが人々の行動を動かすためには重要なのではないかと考えています。

この9月より、課題特定から解決の方向性を指し示す全体戦略を描くことが求められる部署に所属しています。コミュニケーションだけに留まらず、マーケティング的視点を持ちながら、これまで培ってきたクリエイティブ力も活かし、最も効果的な戦略・戦術を立てられる、そんなプラナーを目指します。
という決意表明でこの記事を締めさせていただきます。

JAAA REPORTS「Fresh Eye」

広告会社が集まり、広告を考え、広告を育てるために生まれたJAAA(日本広告業協会)。1950年の発足以来、日本の広告業界を代表する組織です。同協会が、協会の活動や研究内容を共有する機関誌『JAAA REPORTS』では、若手の業界人が日々感じていることを綴るコラム「Fresh Eye」を連載中です。

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