コピーライターはマルチな仕事。企画やディレクションもできる職域の広さが魅力/日本デザインセンター コピーライター 深澤冠さん

コピーライターはマルチな仕事。企画やディレクションもできる職域の広さが魅力/日本デザインセンター コピーライター 深澤冠さん

1959年、日本最高水準のクリエイターが結集し誕生した株式会社日本デザインセンター(以下、NDC)。現在は広告をはじめ、パッケージ、Web、映像など幅広い領域の企画・デザイン・ディレクション業務を行っています。学生時代から多方面で活躍できる人が目標だったという深澤さんは、コピーライターという職業を知り、その業務の多様さに驚いたそうです。現在のお仕事内容とその魅力について、教えていただきました。(マスナビ編集部)

写真:深澤冠さん
深澤冠さん株式会社日本デザインセンター コピーライター
【 目次 】
どのような学生時代を過ごしていたか?
実際に入社して
いままでで一番印象に残っている仕事は?
今後の目標は?
学生のみなさんにメッセージ

どのような学生時代を過ごしていたか?

大学時代は映画をつくっていました。

もともと映画が好きで、中高時代からよく観ていました。大学では何か新しいこと、自分ひとりの力ではできないこと、たくさんの人たちと取り組めることをしたいという思いから、映画制作を選びました。小さな作品でしたが、脚本や監督から、ときどき俳優まで担当し、楽しかったです。

学生時代、もっとも影響を受けたのは、故・伊丹十三さんです。映画監督だけでなく、俳優、イラストレーター、テレビCM制作などマルチぶりが素晴らしい。著書の『フランス料理を私と』(文藝春秋)では、伊丹さん自ら学んだ本格フランス料理を、各界著名人にふるまいながら、それぞれの専門分野についてインタビューで鋭く斬り込んでいきます。しかもオールカラーでレシピつきなんです(笑)。伊丹さんがやりたいことが全部詰まっているうえ、書籍として調和も取れている。

私自身、あるひとつのことを職人的に突き詰めるよりかは、自分が興味のあるものをすべて形にしてみたいというマルチクリエイティブが好みなので、伊丹さんは私にとって、理想のクリエイターの1人です。

コピーライターになりたいと思ったのは、大学3年生の頃。直接のきっかけは、宣伝会議主催のコピーライター養成講座でした。それまでは、「コピーライター=文章を書く人」だと思っていたのですが、ブランディングのキーコンセプトや企画、映像のコンテなどを考えることもコピーライターの仕事だと聞き、その職域の広さに驚きました。

それと同時に、コピーライターはなんでもできる入口のひとつであり、「マルチに多方面で活躍できる仕事」だと知り、嬉しかったのをおぼえています。

実際に入社して

入社後、2週間程度の研修を経て、第2制作本部に配属されました。すぐに「このコピー、書いてみて」「この編集、一緒にやってみようか」と声をかけていただき、先輩社員と一緒に参加させてもらえたのは、すごく嬉しかったですね。早く実際の仕事をやってみたかったので、ひとつひとつの仕事に、ワクワクしました。

最初は編集やコピーライティング業務が多かったのですが、最近では、ブランディングやWebディレクションなど、企画の仕事も増えてきています。

組織も横断的で、プロジェクトによって組むメンバーが変わるのも面白いです。コピーライティングも、自分ひとりで書くこともあれば、複数のコピーライターが参加して、それぞれのコピーを出しあいながら議論することもあります。担当業務の幅がどんどん広がっていく感覚を楽しんでいます。

ちなみに、協業するデザイナーもアウトプットは違えど、私たちコピーライターと根本的に同じだな、と感じています。

クライアントから仕事のオリエンテーションを受けた後、デザイナー、コピーライターが集まって打ち合わせをします。コピーライターが先にキーコンセプトを出したら、そこにデザインをつけていくという流れになります。逆に、デザイナーが先にヴィジュアルイメージを出せたら、そこにコピーライターが言葉をつけていくという順番。こうした例はすべての仕事に当てはまるわけではありませんが、どちらが先に良い案を出せるのか、職種は違えど、ライバルでもあるんです。

いままでで一番印象に残っている仕事は?

サイトの立ち上げから担当した百貨店Webサイトのディレクションです。

もともと担当していた紙媒体との違いを整理して、Webにはどういったディレクションが必要なのか、クライアントとやり取りを重ねながら、改めて明文化することから始めました。

基本的には百貨店の商品を紹介することがベースですが、お客さまの好奇心を刺激するような内容をもっと盛り込みたいという思いから、「おいしい好奇心」というタグラインをコピーライター陣で制作しました。

掲載スペースが限られてしまう紙媒体ではできないこと、短期間で更新できるWebの特長を活かし、こだわりのあるレシピ企画を提案しました。それが、パティシエがつくる朝ごはんのレシピ連載です。レシピをお願いしたパティシエは、以前から気になって追いかけていた人。普段から好きな人、面白いなと思う人のことを追いかけては、こっそり企画に忍び込ませています(笑)。

入社して今年で4年目ですが、こういったことができるようになり、ますます仕事が面白くなっています。今後も、異業種の人たちと仕事をしてみたいです。

今後の目標は?

プロジェクト全体を包括できて、みんなが目指すべき旗を立てられる人になりたいです。

NDCは、言葉もデザインも考えられるマルチな居場所ともいえる職場です。これまでの歴史が築いてきた規模の大きな仕事に携わることができる一方で、巨大すぎない身軽さというか、繊細な部分まで行き届くような綿密さを追求する部分もあるんです。

だからこそ、この会社でしかできないような「大きくて繊細」な仕事を、柔軟性を持ってどんどんチャレンジしていきたいですね。

学生のみなさんにメッセージ

語弊があるかも知れませんが、コピーライターやエディター、プランナーの仕事というのは、「誰にでもできる可能性のある仕事」だと思っています。

例えば、「こんな細かい字、読みたくない」「普段、本は読まないです」という人がコピーライターになったとしたら、どうしたら細かい文字を読むようになるのか、別の新たな視点を発見できるかもしれないと思うんです。

それに、コピーライターは決して文章がうまいだけではないんですよ。たとえ文章が下手でも、こんなふうにも言えるよね、というような気づきが1個でもあると、それだけで課題を切り拓けるのだと思います。

「コピーライターになるために、どんなことが役に立ちますか?」という質問をいただくことがありますが、コピーライターになるために、これをしたほうがいいというものはないと思っています。

自分の好きなものを仕事に引きつけていけることもこの仕事の魅力だと思います。さまざまなことに興味を持ち、思い切って行動してみてください。

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