自分なりのチャレンジを設定してステップアップ。いつか代表作と呼べるものを手がけたい/クリエイティブコミュニケイションズ株式会社レマン Palette4 チーフデザイナー 田中萌生さん

自分なりのチャレンジを設定してステップアップ。いつか代表作と呼べるものを手がけたい/クリエイティブコミュニケイションズ株式会社レマン Palette4 チーフデザイナー 田中萌生さん

学生時代、「誰かの思いや考えを、工夫して伝える仕事」がしたいと感じ、広告業界のデザイナーを志望した田中さん。HONDAやP&Gなど大手クライアントを担当するクリエイティブコミュニケイションズ株式会社レマン(以下、CCレマン)に入社を決めました。「30歳までにアートディレクターになる」という目標を達成するため、自分をさらにステップアップさせるような仕事の取り組み方をしているそうです。

現在はチーフデザイナーとして活躍する田中さんに、デザイナーを志したきっかけから振り返っていただきました。(マスナビ編集部)

写真:田中萌生さん
田中萌生さんクリエイティブコミュニケイションズ株式会社レマン Palette4 チーフデザイナー
【 目次 】
デザイナーを志望したのはなぜか?
新人時代を振り返ると?
現在のお仕事は?
最近のお仕事で一番印象的なものは?
今後の目標は?
学生のみなさんにメッセージ

デザイナーを志望したのはなぜか?

「人に伝えるためのなにか」にずっと興味があったのだと思います。

昔から絵や文字をかくのが好きで、子供の頃は学校新聞や手紙をよく書いていました。どんなトピックスを載せるか企画して、文章にさし絵、レタリングと、一通り「かく」ことを楽しんでいました。

デッサンを勉強するために入った美大受験予備校でデザイナーという仕事を知りました。私が思い描いていた、「誰かの思いや考えを、工夫して伝える仕事」なのかもしれないと、ふんわりとした憧れを抱くようになりました。大学でさまざまな領域のデザインを見たり学んだりしているうちに、広告は色々なアプローチでそれができそうだと、進路を決めました。

CCレマンに入社を決めた理由は、2つ。一つは、老舗の広告制作会社で、さまざまな業種の著名な企業の広告制作をしていたこと。もう一つは、広告会社を挟まず、広告主企業と直接取引をする直クライアントの仕事がメインだったことです。

何社か受けましたが、作品面接のとき、一番自分の言葉で話すことができた印象があります。親身に話を聞いてもらえて、自分を出し切れたと感じたことに、ご縁を感じました。1年目から案を採用してもらえるなど、本人のやる気次第で任せてもらえる会社だなと感じています。

新人時代を振り返ると?

入社前、卒制選抜展に入選しなかったことが悔しくて腐っていたのですが、ゼミの教授から、「ここからがほんとうの勝負。これから見返すようなものをつくってください」と言葉をかけてもらってスイッチが入りました。

春休みからCCレマンでバイトさせてもらうよう申し出て、ちょっと人より早く働き始めました。アイデア出しなどは、1個でも多く案が通るようにと粘り強く取り組んでいました。「正しい頑張り方」ではなかったかもしれませんが、入社当時の気持ちは忘れずにいようと思っています。  

チームでの仕事がほとんどですので、いまでは、ほかの人のアイデアに対しても、どうしたらもっと良くできるか考えることも大切にしています。

現在のお仕事は?

ディスプレイデザイン、パッケージデザイン、Webプロモーション関連のデザインと幅広く担当しています。この1〜2年で、Web領域の仕事が増えた気がします。Webデザインは入社してからだったので、試行錯誤しながら取り組んでいます。

プロジェクトによっては、別の部署の仕事にお声がけしてもらうこともあります。それも新鮮で、新たなチャレンジを楽しんでいます。

時間のあるときは外の様子を見るために出歩きます。オフィスが渋谷にあるので、新しくできた商業施設に足を運ぶことも。どんなお店があってどんなものが売っていてどんな人が来るのか、よく観察しています。

広告の仕事をしていると、「ふむふむ。こんな人のためにこんなモノやサービスがあるんだ…」と自然とアンテナが立って、街を歩くのがちょっと楽しくなります。

最近のお仕事で一番印象的なものは?

大人用オムツのディスプレイデザインの仕事です。
少しカテゴリーは異なりますが、昨今の生理用品の動向が気になっていた矢先に、この仕事をいただきました。「隠さなければならないもの」といった生理のネガティブなイメージを変えようとするムーブメントに連動して、生理用品のパッケージデザインも、持ち歩いたり部屋に置いたりしても恥ずかしくないようなものが出始め、変わってきたのを感じていました。デザインがそんな風に役に立つのは素敵だな、と感じていたタイミングだったので、興味深く感じました。

リサーチのために店頭の陳列状況を見てまわると、できれば買いに行きたくないような売り場だなという印象を持ちました。多くの人がいつか必要とするものなのに、買うのが恥ずかしいというのは問題だなと。消費者にとって親切で買いに行っても恥ずかしくないような場にするにはなにができるか、考えながら制作にあたりました。 

提案したディスプレイデザインがクライアントに評価され、メーカーの工場内の常設展示空間のデザインまで、仕事が発展しました。小売りや卸問屋の取引先を招待する商談の場となる場所で、ブランドの世界観を体感させる空間づくりが課題となりました。

クライアントとワークショップをしたり、工場見学に行ったり、部屋のイメージスケッチを描きおこしながらインテリアを考えたりと、新しい経験が数多くありました。実際に設置された様子を見ると感慨深かったです。自分の引き出しが1個増えた仕事だなと感じています。

今後の目標は?

「30歳までにAD(アートディレクター)になる」というのを入社当時から目標にしてきました。尊敬している先輩がそうしているように、どんな仕事でも自分なりのチャレンジポイントを設けながら、ステップアップしていきたいです。そしていつか、「この人といったらこの仕事」と言われるような、名刺代わりになる代表作をつくっていきたいです。

学生のみなさんにメッセージ

学生時代は、興味のあることを深く、自分が納得いくまでやるのがいいと思います。会社に入ったら、個人的な興味のあるなしに関係なく、いっぱい調べて、つくっていかなければなりません。その基礎体力みたいなものをつけるという意味合いもありますね。

また、作品づくりを通して、自分が好きな軸やデザインする上で譲れないポイントを知ることは、のちのち心が折れそうになったときのモチベーションになると思います。

あとは、入社したら「プロ」になります。「こんな案を出して、すみません」といった発言を聞くと、なんだかちょっともったいないと感じてしまいます。年齢に関係なく、自分が大切にしたい軸を持ち、いいものをつくってやろうという気概を持っていただければ、デザインの仕事は、さらに楽しい気がします。

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