外国人留学生のみなさんへ。敬語や文法よりも大事なこと/ブラビスインターナショナル ストラテジー&コンサルティングディビジョン コンサルタント 趙育さん

外国人留学生のみなさんへ。敬語や文法よりも大事なこと/ブラビスインターナショナル ストラテジー&コンサルティングディビジョン コンサルタント 趙育さん

KDDI、明治安田生命、三菱地所等のロゴを開発したフミ・ササダ氏が1996年に創業したブランディングエージェンシー、株式会社ブラビスインターナショナル(以下、ブラビス)。もともとは母国の中国で就職を予定していた趙さんでしたが、同社と出会い、日本で働くことを決意しました。しかし、実際の面接では、緊張から日本語が思うように話せないと感じたこともあったそうです。どのようなことを意識して就活をされていたのでしょうか。お話を伺いました。(マスナビ編集部)

写真:趙育さん
趙育さん株式会社ブラビスインターナショナル ストラテジー&コンサルティングディビジョン コンサルタント
【 目次 】
現在のお仕事は?
いままでで一番印象的なお仕事は?
どのような学生時代を過ごしていたか?
ブラビスに入社を決めた理由は?
ブラビスでの5年間で最も成長したことは?
学生のみなさんにメッセージ

現在のお仕事は?

ブランドコンサルタントとして、クライアント企業のブランディングや、課題解決のために分析や調査などを行っています。最近では、案件を取りまとめるプロジェクトマネジメントの仕事も増えてきました。

また、海外拠点の1つでもある母国・中国に出張したこともあります。お客さまをさまざまな場所にご案内することができて楽しかったです。

いままでで一番印象的なお仕事は?

入社直後から担当している大豆食品メーカーのお仕事です。「高級車のような高品質な大豆食をつくりたい」という課題をいただき、1年目は社内でリサーチ作業からスタートしました。現在はプロジェクトマネジメントを担当しています。昨年、食感と大豆にこだわり抜いた新製品が完成。思い入れが強いだけに、喜びもひとしおでした。

年単位のプロジェクトになると、お客さまも私たちも1つのチームとしてプロジェクトを進めます。こちらからの一方的な提案というより、お客さまと一緒になってアイデアを考えていくスタンスです。最近のトレンドから深い業界事情まで、さまざまな情報交換も行います。

また先日は、ご担当者さまの誕生日にサプライズでお祝いをしました。スーツ姿の大人たちが、バースデーケーキを囲んで笑う、なんていう光景も微笑ましいですよ。

どのような学生時代を過ごしていたか?

デザイン学科で、主にグラフィックデザインを勉強していました。

入学したときから私には目標がありました。それは、大学3年間で卒業に必要な単位をすべて取得し、最後の1年間は好きなことを思い切りしようというものです。実際、4年生のときは、アルバイトを一生懸命やって貯めたお金で旅行に行ったり、油絵や染色、陶芸など専攻外の授業を取ったりと、いろいろ試しながら学生生活を楽しみました。

ただ、デザインの勉強を進めていくうちに、デザイナーとしてクリエイティブ力を発揮するよりも、その前段階で行うディスカッションやワークショップといった、戦略に関わることをやってみたいと思うようになりました。さらに、デザイン会社に勤めている友人からブランディング会社の存在を教えてもらい、ブランディングエージェンシーやブランドコンサルティング会社で働きたいと考えるようになりました。

ブラビスに入社を決めた理由は?

実は、ギリギリまで中国に帰って就職するつもりでいました。日本で仕事をするなんて考えたこともなかったので、就職するなら実家に近い上海あたりだと思っていました。しかし、周りが就職活動を始めているのを見て、ふと「このまま帰国するのは、ちょっと悔しいかも?」と思い始めたんです。高校を卒業してから、語学学校を含めると約5年。せっかく日本で勉強していたのに、働く経験をしないまま帰国したら、将来、損した気分になるかもしれないって(笑)。

ちょうどその頃、ブラビスの存在を知って、「ごめんなさい、やっぱり帰らないことにしました」と両親に連絡しました。当然ですが、「なんで?」とかなり驚いていましたね。

ただ、子どもの頃から、やりたいことがあれば、基本的に応援してくれたのが両親です。そこはブラビスも同じ。自分で考えたアイデアを持ち寄って、みんなで話し合う。自分の意見も言えるし、先輩や同僚の意見ももらえる。そんな自由な環境が、働くうえで一番大切だと思っていたので、インターンシップでワークショップを体験したとき、「ここだ!」と確信しました。

ブラビスでの5年間で最も成長したことは?

アイデアとロジカルの発想のバランスです。学生時代は、ロジカル的な発想がまったくありませんでした。人になにかを提案するときも、自分が面白いと思ったアイデアをそのまま出していました。しかし、働き始めてから、「ロジックも大切なのでは」と思うようになってきたんです。

やはり、相手を説得するためには、アイデアだけをポンと出すのではなく、そこにロジカルなストーリーを加えないと、お客さまはもとより、社内のチームメンバーすら納得してもらえません。

このことは、入社1~2年目ぐらいからうっすら気づいていたのですが、なかなかできなくて(笑)。ひたすら先輩たちの企画書やプレゼンを見続けて、3年目ぐらいからようやく、こういう表現やストーリーのほうが、説得力があると理解できるようになりました。最近はやっと、アイデアとロジカル両方のバランスが取れた提案ができるようになったかなという手ごたえがありますね。

学生のみなさんにメッセージ

特に、外国人留学生の方にお伝えしたいことがあります。

ふだんは流暢な日本語を話せるのに、なぜか面接になるとうまく話せない、というもどかしさを抱えている方が、たくさんいらっしゃると思います。

頑張って敬語で話そうとすると、「●●させていただきます」など、どんどん文章が長くなってしまうし、「あれ? 今の言い方、文法的におかしくない?」と話しながら迷うこともあるはずです。そのうち、緊張から「えー」とか「あー」が増えてくると、さらに焦って、表情がどんどん固くなりますよね。まさに当時の私がそうで、面接に行くたび、自分の日本語に対する自信をなくしていきました。

ところが、ブラビスの面接では、最初に「敬語、気にしないで大丈夫ですよ」と言ってもらえました。思いがけないその一言でホッとして、じゃあ好きなように話してみよう、と自由に話すことができました。

そのときに感じたのは、相手を敬う気持ちは大事だけれど、敬語を気にするより、自分の考えや思いを伝えるほうが大切だということ。極論を言えば、「です」「ます」ぐらいで十分です。その代わりに、この会社に入社できたら、どんなことができるのか、チャレンジしてみたいのか、自分の思いや考えを、自信をもって伝えてほしいと思います。緊張しそうになったら、「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせて。これは今でも心がけています。

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