第2回マスナビアカデミー講師に聞く!プランナーの仕事とは?広告業界へ入るには?/電通 ソリューション・プランナー 岩井孝憲さん

第2回マスナビアカデミー講師に聞く!プランナーの仕事とは?広告業界へ入るには?/電通 ソリューション・プランナー 岩井孝憲さん

2020年9月9日(水)に行われた第2回マスナビアカデミー「覚えたその日から使える!プランニング基礎講座」。株式会社電通 ソリューション・プランナー 岩井孝憲さんが登壇し、ワークショップを交えながら、企画のつくり方についてお話しいただきました。ここでは、当日お話しいただいたプランナーの仕事についてのお話に加え、参加者のみなさんからいただいた、広告業界への就職に関する質問へのお答えをご紹介します。(マスナビ編集部)

このイベントはアーカイブ閲覧が可能です。
▼詳しくはこちら▼
https://www.massnavi.com/information/2015442.html

写真:岩井孝憲さん
岩井孝憲さん株式会社電通 ソリューション・プランナー
【 目次 】
プランナーとはなにか?
企画や発想の勉強方法は?
広告業界の選考を突破するために必要な力は?
広告業界でのキャリアビジョンをどう描いていくべきか?

プランナーとはなにか?

まず、プランナーの仕事を説明する前に、私たち広告会社の仕事から説明したいと思います。広告会社の仕事は一言でいうと「クライアントの課題解決」です。では、この「課題解決」とは一体なんでしょうか?

世の中にある商品やサービスの多くは、理想と現実の間にギャップを抱えています。例えば、「もっと若年層に売れてほしいのに、なかなか売れない」「競合他社の製品よりも優れた機能がたくさんあるから、伝われば絶対売れるのに、なかなかお客さんに理解してもらえない」といったものです。私たちはこのギャップを「問題」と捉え、その「問題」を生む根本的な原因を「課題」だと考えます。広告会社の仕事は、この理想と現実のギャップを生む課題を解決すること。プランナーの仕事、つまりプランニングとは、その解決のための道筋を立てることだと言えるでしょう。

プランニングにおける道標はシンプルにすると4つのステップに分解することができます。まず1つ目は、サービスや商品の現状、問題を把握すること。2つ目は、問題を生む原因となっている課題の仮説を設定すること。3つ目は課題解決のためのアイデアの方向性を決めること。4つ目はその方向性に沿って具体的な施策を考えることです。私たちは、だいたいこの4つのステップに沿って日々の課題解決の仕事に臨んでいます。

さて、細かい内容については、アーカイブ動画をご覧いただければと思いますので、この記事ではプランニングという視点から、アイデアを発想する際に覚えておいていただきたい、重要なことをご紹介します。それは、「課題設定のない対症療法的なアイデアは、現状を根本的な解決に導かない」ということです。

例えば肩こりの症状があったときに、皆さんはどんな対処方法を考えるでしょうか。特に原因に目を向けなければ、オーソドックスな方法として、湿布を貼るといった策が考えられるでしょう。しかし、原因を掘り下げると、眼精疲労のせいで肩が凝っているのかもしれないし、姿勢の悪さが原因かもしれない。もしかしたら、歯並びによる噛み合わせのせいかもしれません。そうすると、湿布の処方は一時的に凝りを和らげる対症療法でしかありません。本質的な解決の手段は、ブルーライトカットメガネを買うことだったり、整体に通うことだったり、歯列矯正を受けたりすることのはずです。

このように、アイデアを考えるときは、問題の原因を生む課題を探り、それに合った対処方法を考えなければ、根本的な解決にはつながらないのです。この考え方は広告業界だけに限らず、みなさんの身の周りの課題を解決することにも役立つはずですので、ぜひ意識してみてください。

企画や発想の勉強方法は?

事例を紐解き、自分なりに法則を導き出して体系化することをおすすめします。ただ事例を見つけて覚えるだけでは再現性に欠け、自分ごととして捉えられないでしょう。事例をフレームワークに落とし込みながら分析し、自分なりにどんな法則がありそうか、その法則をどのように応用できそうか考えてみることをおすすめします。

分析する方法はいくつかありますが、私が新入社員の時にやっていたのは、「課題設定(What to say)」「表現(How to say)」に分けて考えるという方法です。「どんなところに着目して課題を導き出したんだろう?」「伝えるための表現はどんな手法を使っているんだろう?」「アイデア発想に応用できる再現性のある要素はないだろうか?」と考えを巡らせてみてください。

広告業界の選考を突破するために必要な力は?

これは広告業界に限った話ではないかもしれませんが、「自分を客観視し、物事への取り組み方や自分の資質を的確に伝えられる力」ではないかと思っています。

OB訪問を受けたり採用に携わったりした経験からよく思うのは、「広告業界はぶっとんだ人しか受からない」という勘違いから、自分を面白く見せることに固執し、結局その人のなにが強みなのかが伝わらない学生が多いということです。また、過去の実績ばかりを語っていて、その実績を生んだプロセス、つまり、再現性があるのかが伝わってこない学生も多いように思います。

広告会社は、ただ面白いだけの学生を求めているわけではありませんし、過去に大きなことを成し遂げたかどうかについても、ほとんど評価していません。実績はもしかしたら偶然の産物かもしれないし、一緒に成し遂げた人がすごかったからかもしれないからです。

実際、僕も「学生時代に起業して事業売却を経験」「全国大会優勝」などといった輝かしい経験は一切していない、サークル活動一筋な普通の学生でした。面接で話したエピソードも、規模感でいえば大したことのないものです。

面接ではこれまでの物事への取り組み方を聞くことで、その取り組み方が入社後にも活きそうかイメージを膨らませながら、学生の「ポテンシャル」を見極めています。表面的な面白い人アピールや実績アピールではなく、具体的なエピソードを踏まえて、物事への取り組み方や自分の資質を的確に伝えることを意識してみてください。

ちなみに私は、ESに書くことや面接で話す内容についても、広告の「What to say」と「How to say」と同じように考えることで、選考突破につながると思っています。しっかりと自己分析をして、自分は物事にどう取り組む傾向があるのかを言語化し(What to sayを決め)、それがどんなエピソードを、どのように話すことで伝わりやすくなるのかを考える(How to sayを考える)と良いでしょう。

広告業界でのキャリアビジョンをどう描いていくべきか?

広告業界でのキャリアビジョンをどう描いていくべきか?
まず、いきなり広告業界に視点を定める前に、そもそも「仕事とはなにか」「働くとはなにか」というところから考えてみてはいかがでしょうか?

この問いに対する考え方は十人十色なので、あくまで僕の考えという前提でお伝えしますが、僕にとって働くことは、自己実現の手段です。会社や仕事は、自分がなりたい自分になるために利用する手段、という考え方です。そういう考え方に立つと、キャリアビジョンは、なりたい自分になるためのロードマップということになります。

5年後、10年後になりたい自分になるためには、どんなキャリアを積んでなにができるようになっているべきなのか? どんな仕事をどう利用したら良いか? という軸で考えると、オリジナリティのあるキャリアビジョンが描きやすいのではないでしょうか。

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