本音と社会をつなぎ共通項を見つける仕事/PRプランナー 肥高結衣さん〈広告業界のプロ図鑑〉

本音と社会をつなぎ共通項を見つける仕事/PRプランナー 肥高結衣さん〈広告業界のプロ図鑑〉

ビジネスプロデューサー(営業)、マーケター、コピーライター、アートディレクター、プランナー…と広告業界にはさまざまなプロフェッショナルな職種が存在します。「カタカナの職種が多くて、なにをやっているかわからない」「その職種がどんなキャリアを歩むのか見通せない」と悩んでしまう就活生も多いはず。今回は各職種につく先輩たちに「●●職の仕事とは?」について解説いただきました。初回はPR会社・オズマピーアールで働くPRプランナーの肥高結衣さんに語っていただきます。肥高さんが考えるPRプランナーとは?(以下、『広告界就職ガイド2023』(宣伝会議)より一部を転載)

写真:肥高結衣さん
肥高結衣さん株式会社オズマピーアール PRプランナー
1992年生まれ。近畿大学総合社会学部マスメディア専攻卒業。2015年に入社後、美容・インフラ系のプロダクトPRに従事。4年目からオズマヘルスケア本部に部署異動し製薬・学会・患者会のPRを支援。ゼロからの関係性構築能力を武器に、当事者のインサイトを捉えたPR企画を展開中。これまでの受賞歴に、PR Awards Asia 2021シルバー、PRアワードグランプリ2020シルバーなど。

※肩書などは『広告界就職ガイド2023』発刊時のものです
【 目次 】
本音と社会をつなぎ共通項を見つける仕事
広告界就職ガイド2023ではPRプランナーの具体的な仕事がわかる
最新刊の広告界就職ガイド2024も好評発売中

本音と社会をつなぎ共通項を見つける仕事

PRプランナーは、顧客・株主・取引先・官公庁・NPOなど、クライアント企業と利害関係を持つステークホルダーの間に立って、その関係性を構築していく役割を担います。PRはPublicRelationsの略ですが、複数形の“s”の部分を大切に、さまざまなステークホルダーの折り合いをつけて、モノ・コトを世の中に広げるための準備をするプロフェッショナルであるべきだと思っています。

私は現在オズマピーアールに入社して7年目で
す。美容などのプロダクトPRに約3年間携わった後、4年目から製薬会社などが主なクライアントのヘルスケア専属チームに。担当製品のPRをするモノ起点ではなく、ヒト起点でPRをしたいと思い、この部署を申し出ました。なにか思い悩んでいる人の暮らしをPRの力で良い方向に変えてみたい。そんな思いは常にあります。

PRプランナーの具体的な仕事の手順は、まずはクライアントからのお題にひもづく生活者の「本音」を理解するところからスタートします。個人的なブログやSNS、ほかには実際にお話しを伺う場を設けて、リアルな悩みを丁寧に探っていきます。一人ひとりと向き合うことで、意外な事実を見つけることができるからです。次に、本音と社会のトレンドや課題を掛け合わせ、共通項を見つけていきます。最近ではSDGsなど大きな課題もありますが、掛け合わせるのは特定の界隈で注目されているような、小さくても具体的な課題や関心事です。その周辺には、世の中に広めたい・知ってほしいと情熱をもった人が多く集まっていることが多く、将来的にはプロジェクトの共創パートナーになる可能性も秘めているからです。

並行して、世の中に発信する手段のプランニン
グも行います。ポイントは、ストレートに伝えるのではなく、伝わりやすく柔らかいイメージにして届けること。方法として、例えば、医薬メーカーがクライアントなら、アパレルやアート、行政と連携するなど、異業種を巻き込むことも一つです。そうすることで、当初は医療分野にしか届かなかった情報が、アパレル界隈の人にも情報が届くようになる。つまり、これまで興味を持ってもらえなかった層にも届きやすくなるのです。

もちろん勝手に届くわけではありません。
ジャーナリスト・メディアの力はとても大切なので、メディアプロモートを行います。クライアントや私たちが目指したい未来に、普段から興味や関心を持たれている新聞社・出版社の記者やライター、親和性のありそうなインフルエンサーへ情報提供し、個々人の考え方を通して、メッセージを世の中に発信してもらいます。

一連の業務のなかで意識していることは、いか
にして一人ひとりの声をすくい上げられるか。そのまま世の中に発信してしまうと、誰も振り向かない、伝わらないということも往々にしてあります。本音と社会やクライアントとの共通項を私たちが探し出して、響くメッセージに変換できたときにやりがいを感じます。社会に情報を広げる、ひいては世の中を変えるキッカケをつくるという意味においても、Public Relationsの“s”を心に留めておくことが大切だと思います。

広告界就職ガイド2023ではPRプランナーの具体的な仕事がわかる

『広告界就職ガイド2023』(2022年1月13日発刊)には、本記事で「PRプランナーとは?」について解説いただいた肥高結衣さんが携わったPR事例などを紹介しています。製薬会社とともに服づくりプロジェクトやアート展などをなぜPRプランナーが手掛けたのか、語っています。書籍詳細はこちらから

最新刊の広告界就職ガイド2024も好評発売中

2022年12月28日発刊の最新刊『広告界就職ガイド2024』(宣伝会議発行/マスナビBOOKS編集部協力)も好評発売中。プラップジャパン PRプランナーやマッキャンエリクソンのストラテジックプランナーなどのお仕事を紹介しています。書籍詳細はこちらから

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