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レポート

なぜ就活では“軸”が大事なのか ─ 就活を成功させるための心理テクニック 第9回

橋本之克さん

なぜ就活では“軸”が大事なのか ─ 就活を成功させるための心理テクニック 第9回

近年大注目の「行動経済学」。不合理な生き物である人間を、心理学と経済学を用いて分析する考え方で、マーケターが消費者インサイト(消費者自身が気づいていない本音や動機)を捉える際にも参考にするメソッドです。就職活動も人の不合理な判断が少なからず起きてしまいます。判断を誤らないように、行動経済学を用いて就活対策をするならば──。

第9回は、「よく就活では『軸が大事』と言われるけどなぜなのか」「軸があると就活中盤・終盤でどのように助かるのか」について。目の前の就活だけでなく、将来の仕事から実生活にも役に立つ、就活を成功させるための心理テクニックをお伝えしていきます。(マスナビ編集部)

選択の幅が広がると人はどうなる

マクドナルドが2015年に行った「1,000通り以上に広がるチョイス『新バリューセット』」という全国キャンペーンを知っていますか? メイン11種類、サイド5種類、ドリンク20種類による計1000以上の好きな組み合わせから選べるのがウリでした。

しかし、これの実施にあたって社内ではかなりの苦労があったと想像できます。例えば全店舗において1000通りの注文に対応できるように、調理から提供までの段取りを構築する必要があったでしょう。店員はお客さまをお待たせしないように、短時間でミスなく作業しなければなりません。そのうえ全国投下の広告や販促には多くの費用がかかったはずです。

しかし残念ながら、キャンペーンは早々に終わってしまいました。その理由は、顧客の心理に働く「決定麻痺」の理解が不足していたからだと考えられます。これは人間が、多すぎる選択肢を目の前にすると、その選択を先に延ばし、または選択すること自体をやめてしまうものです。おそらくマクドナルドは、顧客にとっての選択肢の多さが価値になると読んだのでしょうが、1000以上の選択肢から最良の一つを選ぶのは難しかったのです。しかも、この判断をカウンターで店員に見られ、後ろに並ぶ客の視線を気にしながら行う必要があるため、さらに困難でした。

集めた情報から取捨選択するコツ

このエピソードからは“選択肢の多さが常に価値になるとは限らない”という教訓が得られます。これを就活に活用するならば、皆さんがすべきことは何でしょうか?


この続きは、新刊『なんで?を解き明かす行動経済学が導く 納得就活~就活を成功させるための心理テクニック~』で読むことができます。
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締め切り直前の超集中状態・ゾーンの秘密

著者プロフィール

マーケティング&ブランディングディレクター/昭和女子大学 現代ビジネス研究所 研究員 橋本之克さん
東京工業大学社会工学科卒業後、読売広告社、日本総合研究所を経て、1998年アサツー ディ・ケイ入社。戦略プランナーとして金融・不動産・環境エネルギー等の多様な業界のクライアント向けに顧客獲得業務を実施。2019年独立。現在は、行動経済学をビジネスに活用する企業向けのコンサルティングや研修講師を行う。また企業や商品に関するブランディング戦略の構築と実施にも携わる。著書に『9割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人」』(秀和システム)、『世界最前線の研究でわかる! スゴい! 行動経済学』(総合法令)ほか。