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レポート

2023年の日本の広告費、過去最高の約7.3兆円【電通調べ】

マスナビ編集部

電通は、日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推定した「2023年 日本の広告費」を発表した。2023年の総広告費は、前年比103.0%の7兆3,167億円となり前年に引き続き過去最高を記録した。

進展する社会のデジタル化を背景に増加傾向が続くインターネット広告費。新型コロナの5類感染症移行による人流の活発化に伴って増加したリアルイベントなどのプロモーションメディア広告費。この二つの領域が、広告市場全体の成長に寄与した。

【日本の総広告費の推移】

マスコミ四媒体広告費はダウントレンドも、マスコミ由来のデジタル広告が好調

マスコミ四媒体広告費は、前年比96.6%の2兆3,161億円となった。雑誌広告費は出版社が保有するコンテンツ制作やファンベースを活用した企画・案件の増加により1,163億円(前年比102.0%)に成長しているものの、新聞広告費、テレビメディア広告費は低調が続いている。

一方でインターネット広告費は3兆3,330億円(前年比108.3%)と前年度に続き過去最高を更新した。特にコネクテッドテレビの利用拡大などを背景に「TVメディア関連動画広告費」が前年比126.6%の443億円となった。


またマスコミ四媒体由来のデジタル広告費も前年比106.9%で前年度に続き成長を続ける。ラジオデジタルはPodcastを始めとする音声メディアでのデジタル展開が高い注目度を維持したことで、前年比127.3%の28億円に伸長した。また、見逃し無料配信動画サービスによる利用者数・利用時間の増加により、テレビメディアデジタルのうち、テレビメディア関連動画広告は前年比126.6%の443億円と成長している。


アフターコロナでリアルイベント回復の兆し

プロモーションメディア広告費はコロナ前には届かないものの、前年比103.4%の1兆6,676億円と少しずつ復調の兆しをみせている。2023年は屋外広告、交通広告、イベント・展示・映像ほかなどのジャンルが好調だった。

屋外広告は都市部を中心に出稿量は堅調に推移したことや屋外ビジョンの需要伸長で前年比101.5%の2,865億円となった。交通広告は前年比108.3%の1,473億円。大型サイネージや大型ボードなどのジャック系媒体が前年に引き続き好調を維持したことや駅構内や空港の国際線でのデジタルサイネージの需要の高まった影響を受け、伸長している。

「イベント・展示・映像ほか」は前年比128.7%の3,845億円となった。イベント領域はコロナ禍で開催中止や小規模開催していたイベントの再開、大規模化により、前年比138.7%と大きく伸長した。展示領域は、複合型商業施設やインバウンド需要の回復に伴い、テーマパークや企業PR施設といったエンターテインメント施設での新装・改装、催事が堅調に推移した。一方、百貨店は市場環境の変化、文化施設は公共投資の抑制などの影響を受け、減少した。映像関連は、動画共有サービスの普及に伴い配信動画、商品サービス紹介など企業のマーケティングプロモーション活動におけるニーズが高く、制作需要は前年に続き高まっている。

2024年は五輪や国政選挙などで広告市場押し上げる

2023年は人流の活発化が広告市場全体の成長につながった。新型コロナの5類感染症移行に伴うリアルイベントの開催数増加や国内外の観光・旅行の活発化。それに伴った「交通・レジャー」「外食・各種サービス」「飲料・嗜好品」領域での広告需要の高まりが追い風となった。

さらに「世界の広告費成長率予測(2023~2026)」(電通発表)によると、2024年は複数の大型スポーツイベントや国政選挙の開催などにより多くの広告機会が創出されることが予想される。さらに、媒体価格のインフレーションによる貢献も見込まれており、今後の動向も注視していく必要がある。