株式会社新通

これまでのキャリアについて教えてください。

大学卒業後は地方銀行へ新卒入社をして、法人融資の事務や個人融資の営業を担当していました。安定性やキャリア形成を考えて会社を選んだのですが、働き始めて2年ほどで転職活動を始めました。もともと大学時代に学生団体に所属しており、企画運営やキャスティングを行っていた経験から、ずっと抱いていた「広告会社で働きたい」という思いが捨てきれずにいました。転職活動を進める中で、ご縁があったのが新通でした。

新通に入社後、半年間は営業事務として仕事をしていたのですが、上司から「デジタルの仕事に興味ない？」と話を頂いたのが、いまの仕事に携わるきっかけでした。デジタルは今後も伸長していく分野だと感じていたので「興味あります！」と答えたら、新通の業務提携先の会社に出向という形で、3カ月間デジタル広告を学びました。出向先は自社媒体を持っている＋広告運用を行っている会社だったので、「デジタル広告をどう設計するのか」という土台の部分から勉強させてもらいました。最初は覚えることが多くて大変でしたが、取材同行やタイアップ記事の作成などの業務を通して概要をつかめるようになりました。今は新通に戻って、デジタル広告の部署に所属しています。デジタル広告のシステムを知っておくだけでも状況判断もできて、仕事もスムーズに進むので「いい勉強をさせてもらったな」と感じています。

現在の仕事内容について教えてください。

デジタルを使った広告のプランニングと提案がメインの仕事です。メディアのプランニングはもちろん、戦略的なマーケティングコミュニケーションの調査・分析・キャンペーンの施策提案も行っています。専門的な仕事だけではなく、デジタルメディア領域の業務を全般的に行っています。扱っている媒体も多岐にわたり、皆さんがよくご存じのものだとSNS広告やYahoo! JAPAN、Googleといった検索エンジンの広告、テレビ局の無料配信動画サービスの広告などを取り扱っています。

今の部署に配属される前は、「デジタル広告のプランニング＝サポート業務」というイメージがありましたが、それだけではありません。営業担当者と一緒にクライアントのもとへ同行するのも仕事の1つです。課題のヒアリング、提案書の作成、提案、プレゼンテーションなどの一通りの業務も行っています。基本的には営業担当者を介してクライアントとやり取りをするのですが、関係値ができ上がっているクライアントに関しては、直接ご相談いただくこともあります。サポート業務だけでなく、営業のような仕事もするのでどちらも経験できる貴重なポジションですね。

この仕事をしていて1番大切なことは「コミュニケーション」だと考えています。商品やサービスがターゲットとしている層に届かないと、広告を出している意味がないですよね。たとえば動画視聴中に広告が流れてきて、「なんでこの広告が流れてきたの？」と不快な思いをしたことがある方がたくさんいらっしゃると思います。見ている人に疑問を持たせてしまうような広告は、コミュニケーションが成立していないのと一緒です。きちんとターゲットを見定めて、適切な情報を届けるのが「コミュニケーションをデザインする」ということにつながると思っています。

印象に残っている仕事はありますか？

入社3年目のときに担当した、大手飲食店の年間プロモーションの仕事が印象に残っています。それまで自分が経験したことがなかったTwitter（現X）キャンペーンを展開したもので、初めて責任者を任された仕事でもあります。担当した飲食店の特徴として、特に「安さ」で人気を博していたのですが、ユーザーが社会人になったら離れていくことが課題でした。「どうやったらもう一度足を運んでもらえるのか」を考えて、お店の独自の魅力を伝える動画付きのプロモーションツイートを提案いたしました。「みなさんがご存知のお店ですが実は…」という切り口で、あまり知られていないお店の魅力を伝えました。

プロモーションツイートをきっかけに、ユーザーから「この間、食べに行ったら美味しかった」「この広告を見たらお店に行きたくなった」といった声があってうれしかったです。それまでは主にプッシュ型広告を担当していたので、一方通行の情報発信になっていました。しかし今回はユーザーの具体的な反応を直接見ることができて、今までとは違う感覚を味わいました。自身が全体の進行を任されたということもあって気持ちに変化があったのかもしれません。「広告は心を動かせる仕事なんだ」と実感しましたし、担当できてよかったなと強く思いました。

ユーザーからの声は、もちろんクライアントも喜んでくれます。「生の声」というのは具体的でわかりやすいですし、心に響きやすいのでとても貴重ですね。ユーザーの反応を含めて次の提案をすると、新しい仕事につながりやすい傾向もあります。広告を出すうえで大切な「コミュニケーション」ってこのようなことなのではないか？ と思っています。広告の運用効率の結果だけを報告するのではなく、もう一段階満足度を上げる結果にするにはユーザーの反応は欠かせないと感じています。

職場の雰囲気はいかがですか？

新通の雰囲気を一言で言うと、「不感温浴」ですね（笑）。とても和やかで居心地がいいです。広告会社のイメージとして、飲み会が盛んに行われたり、騒がしいノリがあると思われがちなのですが、そういったことはないです。人柄が素敵な方が多くて、社員同士が尊敬し合っているので、自然と会社全体のまとまりができ上がっている感じがします。仕事柄、さまざまな部署の方々とつながりがあるので、一緒にごはんに行くことももちろんあります。

仕事に関してもみなさん熱意を持っています。クライアントに親身になって取り組んで、強いつながりや信頼関係をひしひしと感じます。年代が上の方でも、デジタルについて勉強して知識を付けたりとアグレッシブな方が多いですね。ON・OFFの切り替えがキッチリしている印象です。

いま所属している部署もとても働きやすいです。個人個人で得意な分野が違うので、良い意味で個人に委ねてもらえています。困ったことがあったとしても、相談してアドバイスを頂いたり、親身になってくださるので放っておかれることもないです。フォローしてもらえる体制は整っていますね。仕事をやりたいようにやらせてもらえて、仮に失敗しても「そこから学んで次に活かしてね」と言ってもらえるので提案がしやすいです。「この提案をしても却下されるかな」と上司の顔色を窺うこともまったくありません。

学生のみなさんにメッセージをお願いします。

広告は多種多様な業界に携わるので、さまざまな知識が活きる仕事です。志望業界がある程度固まっていても、幅広くたくさんの業界を見てほしいです。社会人になってからも役立ちますし、それぞれの業界の仕組みを知っていて損はありません。たとえ広告会社に就職されなくても、将来に活きてくると感じています。

自身の就職活動を振り返ったとき、狭い視野で動きすぎて「ああしておけばよかった」と思うことがたくさんあります。ひたすらエントリーシートを作成、提出する日々で自分のやりたいことを見失っていた時期もありました。大学時代は「広告の仕事がしたい」という思いを持っていたのにも関わらず、別の業界に進んで就職しているので…。

就職活動に振り回されすぎずに、自分の軸を持ちながら動いてほしいですし、熱意を持って動いてほしいです。就職活動はしんどいものです。それでも「内定が出る」ということを最終目的にしないでほしいなと感じています。自信を失う場面もあるかもしれませんが、結果に一喜一憂せず、悲観せずにいろんなものを見ていろんなことを考えてほしいです。自分のやりたいことを見誤らず、突き詰めていけば大丈夫です。「なるようになるさ」の精神で挑んでください！