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Instagram COOが語る「重要なのはコンテンツの美しさより、ターゲットとの親和性の高さ」

(2017年01月11日 掲載)

2016年12月に、MAUが6億人を突破したと発表したInstagram。大手企業はもちろんのこと、中小規模の企業やブランド、個店に至るまで、ビジネス向けに活用する事例も増える中、その成長の立役者であるCOOのマーニー・レヴィーン氏にインタビューする機会を得た。2014年の就任から2年、ビジネスプラットフォームとしてのInstagramを牽引してきた同氏が語る、Instagramの活用可能性と、SNS時代のマーケターに求められる役割とは。

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マーニー・レヴィーン氏

■Instagramのビジネス活用を拡大した立役者

--Instagramで、自身のキャリアをどのように生かせると考えたか。

子どもの頃から政治や公共政策に関心を持ち、情熱を傾けてきた。大学卒業後は財務省に勤め、当時の財務長官だったラリー・サマーズがハーバード大学の学長に就任するタイミングで同大のチーフ・オブ・スタッフに就任、2年ほど務めた。

その後、ビジネススクールに通い、修了後はオンライン決済サービスのスタートアップ企業を経験。その後、オバマ政権下で国家経済会議の主席補佐官を務めていたところ、Facebook COOのシェリル・サンドバーグ氏から連絡があり、Facebookのグローバル公共政策のポジションをオファーされ、同社に入社した。

やりがいのある毎日だったが、4年ほど経つと何か新しいチャレンジがしたいと思うようになり、Instagramに至った。

キャリア選択において考えてきたことは大きく2つ。

ひとつは、人々の暮らしや世の中をより良くしたいということ。また、それを実現する上ではどこで仕事をするのが一番いいのかということだ。若い頃は、政府から公共政策を通して広く世の中全体に働きかけることを志向したが、最近はテクノロジーを通じて人々の生活に貢献することが、より効果的なのではと考えるようになった。

2つ目は、ミッションドリブンな環境で仕事をしたいということ。Instagramの仲間も、世の中を良くするというミッションを掲げて日々の仕事に臨んでおり、刺激を受けている。

--Instagramで何がしたいと考えたのか。Instagramをどう変えたいと思ったのか。

私は2年前、Instagramの設立4年目のタイミングにCOOに就任した。2014年末時点で3億人だったユーザーは、2016年12月16日現在、6億人に達した。ユーザーの80%が米国外在住で、日本には1200万人のユーザーがいる。

私が入社した当時、Instagramはユーザーが写真を通して世の中を経験したり、自分のストーリーを語ったり、興味・関心のあるものを探したりといったことを可能にするプラットフォームで、広告メニューも存在しなかった。

しかし私は、Instagramに、大手企業から中小企業、個店に至るまで、さまざまなビジネスユーザーとつながっていける可能性を感じていた。人が興味を持って、何かを見つけたいと考え、能動的に閲覧するInstagramというプラットフォームを活用し、企業のビジネス成長を支援することに取り組んできた。

いまや、FacebookとInstagramを合わせて「1/5モバイルミニッツ」が消費されている(モバイル利用時間のうち20%はFacebookとInstagramを使用している)という調査データもある。広告メニューをはじめとするビジネスツールの開発には、お客さまと出会いたい・お客さまとつながりたいと考える企業やブランドに、Facebook・Instagramをより効果的・効率的に活用してもらえるようにとの考えで臨んでいる。

「ビジネスプロフィール」(ビジネス向けアカウント。投稿の運用効果を測定できる「Instagramインサイト」や、投稿を宣伝する機能「Instagram広告」が利用できるようになる)は、すでに150万以上のブランドが利用している。

Instagramは、特に中小規模の企業にとって非常に有用なプラットフォームだと感じている。ローカルビジネスが、既存顧客との関係性をより深めていくという使い方もできるし、グローバルに向けて情報・メッセージを発信し、ビジネスの対象を広げていくこともできる。いくつかの成功事例を紹介したい。


【1】スキンケアブランド「LENAJAPON」

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博報堂を経て、アメリカの大学でマーケティングを学び、ザ・ボディショップ ジャパンの社長を務めた蟹瀬令子氏が、50代半ばで立ち上げたスキンケアブランド。ひどい肌荒れに悩まされていた娘の肌をケアできるものをと考え、100%植物由来成分でつくられたスキンケア商品を開発した。
2016年秋に展開を開始した「LENAJAPON USA」は、発売前からInstagramで告知を行っており、国内のみならず海外へもビジネスを広げている。

【2】グローサリーストア「FOOD&COMPANY」

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谷田部摩耶氏が2014年に立ち上げた、オーガニック食材を販売する食料品店。「大切な人と、愛情のこもった料理をシェアできる環境」をつくることを目的に、取り扱う食材の選定にこだわることはもちろん、つくり手による試食会やワークショップも実施するなど、食を通して人と人とがつながる「場」づくりにも力を入れる。

オープン当初からFacebookやInstagramといったSNSも積極的に活用している。Facebookには、地元の人を意識した文字ベースの情報を主に掲載。Instagramには、食や場の楽しさが伝わるような写真・映像を投稿している。海外からのコメントも多く寄せられており、来日時にお店に足を運ぶフォロワーも現れている。

これら2つの例は、Instagramを通じて、特定の価値観や興味関心を持つユーザーに効果的にリーチすることで、規模の小さな企業・ブランドでも認知を格段に向上することができることを意味している。

Instagramを通じたコミュニケーションのもう一つの特徴として、インスピレーションを起点に、消費者の行動を喚起しやすいということが挙げられる。それを端的に示したのが、次の3つの事例だ。

【3】リクルート住まいカンパニー「SUUMO」

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2015年10月にローンチされた広告プロダクト「マーキー」を活用して、動画広告を配信。

「趣味にこだわる3人の女性の部屋と、そこでの暮らし」をリアルに表現した動画を、Facebookのクリエイティブチーム「Creative Shop」と共同で制作し、フィード内に配信。若年層に対し、フレッシュなブランドイメージを訴求した。広告想起率は44ポイント向上、ブランド認知度は6ポイント向上した。

【4】JIMOS「Macchia Label」

30代以上の女性をターゲットとするスキンケアブランド「Macchia Label」。FacebookおよびInstagramでダイレクトレスポンス広告を展開したところ、売上増加とROI向上の両方を実現した。オンラインサイトへのコンバージョンは約4倍、CPAは約40%減。

【5】日本航空

機内Wi-Fiサービスの認知拡大を通じて、航空券の予約件数を増やすことを目指し、Instagramを活用した。具体的には、Facebookの「Audience Network」(Facebook広告の配信先を、サードパーティーのモバイルアプリへと広げることができる)を活用することで、広告をFacebookとInstagram、その他のアプリに配信。ニールセンの調査によると、ブランド認知度は16%向上、サイトでの予約数は11ポイント向上した。

■重要なのは、コンテンツの見た目の美しさではなく、ターゲットとの関連性の高さ

--Instagramのビジネス活用を促進するために、どんな工夫をしてきたのか。

当社の調査によると、ユーザーの50%がブランドや店舗のアカウントを積極的にフォローしており、60%がInstagramを通じて新しい商品・サービスの情報を得ている。さらに75%は、Instagram上の投稿に触発されてブランドのWebサイトにアクセスするなどといった次のアクションを起こすと回答している。

Instagramは、こうしたユーザーと企業とをつなぐウィンドウの役割を果たしてきた。そして各種ビジネスツールによって、そのウィンドウがターゲットにとって、より「店舗」らしく見えるようサポートしてきた。

具体的には、ビジネスアカウントのプロフィール上部に「連絡する」ボタンを表示し、ユーザーが企業・ブランドへアクセスしやすくしたことなどが挙げられる。2016年11月にはショッピング機能の強化に向けたテストを開始した。

新機能が搭載されると、投稿写真内の商品にタグ付けを行い、Instagram上に商品の詳細情報を表示したり、購入ページに誘導したりすることができるようになる。ユーザーが商品の比較検討を行いやすいよう、写真の「保存」機能も付加する。こうしたビジネス向けの機能を今後も拡充していくので、それをぜひ活用してもらいたい。

また、そうした機能・ツールを効果的に活用するための各種サポートも充実させていく。2016年12月14日には、ビジネス向けサイト「Instagram for Business」の日本語版を公開。世界各地の小規模ビジネスをサポートするプログラム「Boost Your Business」では、ベストプラクティスを共有するとともに、最新のマーケティング戦略やツールについてレクチャーする場を提供している。

9月に立ち上げた「#shemeansbusiness(#起業女子)」では、特に女性の起業家・事業家を対象としたサポートを強化している。

--中小規模の企業やブランドが、Instagramを効果的に活用するためのコツは。

自分たちが伝えたいコアなメッセージやストーリーは何か、また自分たちらしい表現とは何かを、まずは明確にしてもらいたい。Instagramは、それを「どうやって」伝えるかという点で、企業・ブランドをサポートできると考えている。

リーチ拡大やコンバージョン向上など、成し遂げたい目的が定まっていれば、その実現に向けて何をどうすればいいのか、Instagram上ではさまざまな形でテスト・検証することもできる。

顧客は、商品・サービス自体のことだけでなく、それが開発された背景やつくり手の思いを含め、多面的な情報・ストーリーを聞きたがっている。例えば、起業家としての思いや、開発過程の苦しみなど、商品・サービスの提供者の価値観にも関心を持っているのだ。ビジネスアカウントであっても、そこにパーソナリティを見出そうとしており、それを発信することで顧客のロイヤリティは格段に高まると思う。

投稿するコンテンツの制作に関して言えば、SUUMOの事例がそうだったように、「Creative Shop」と連携して質の高い写真・動画を制作することもできるが、自分の手元で撮影した写真や動画をすぐに・簡単にアップできる点も魅力のひとつなので、その手軽さを最大限に生かすことも効果的だと考えている。

--デジタル時代のマーケターに求められるスキル・資質についてどう考えるか。

モバイルを活用するスキルは大前提として、一番大切なのは、ユーザーに自分ごとだと思ってもらえるようなコンテンツをつくり、発信し、関係性を築くコミュニケーション能力だと思う。ビジュアルの美しさというより、「自分に関係がある」と思ってもらえる、エンゲージングなコンテンツをいかに生み出すことができるか。

例えば、私は美容関連の投稿を頻繁に閲覧し共感することが多いが、それを私の夫が見ても何とも思わないはず。その点、FacebookとInstagramの精度の高いターゲティング機能を使えば、ターゲットにとって関連性が高いコンテンツを、適切なタイミングに届けることができる。

--Instagramは今後、どのようなプラットフォームを目指していくのか。

シンプルで使いやすいアプリであり続ける。これは、創業当初から変わらない方針だ。デザインをシンプルに保ちながら、アプリ内における体験の質を向上していきたい。

それにあたっては、ユーザーからのフィードバックを重視する。広告メニューの展開を段階的に進めてきたのも、その方針を反映してのことだ。広告メニューひとつとっても、「ビジネス面でどんな成果が得られたのか」と同時に「ユーザーにどう受け止められたのか」を検証し、ユーザー体験を損なうことがないよう注意している。

ユーザーの声を聞くだけでなく、ユーザーが実際にどう使っているかを注意深く観察することも重要だと考えている。かつては正方形の写真しか投稿できなかったのが、縦長・横長の写真も投稿できるようになったこと、24時間で投稿が消失する「Instagram Stories」をローンチしたこと、投稿の「保存機能」のテストを開始したことなどは、ユーザー行動を踏まえた取り組みの代表的な例だ。

ビジネス向け機能・ツールの拡充と並行して、プラットフォーム上におけるユーザー体験を向上するためのサービス改善も、さらに強化していく必要があると考えている。

(宣伝会議 編集部/宣伝会議 AdverTimes)

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